第8号
■発行日・・・2025年11月1日
デフリンピックについて
30年前くらいに右耳の難聴が分かり、それ以来ずっと左耳は大事にしてきたつもりです。というのも、当時、診察した某医大付属病院の医師から、右耳の難聴は今の医学では治すことができないので、せめて反対側の左耳は正常を保つように気を付けるようにといわれたからです。しかしながら、昨年の人間ドックにおいて左耳も難聴になっていることが分かりました。日常生活では、それほど困難を伴わない難聴レベルですが、今年の人間ドックでも両耳とも難聴の疑いがあるとのことだったので、耳鼻科医院の診察を受けることにしました。その結果は、「両側高音障害型難聴」であり、経過観察が必要とのことでした。今後は、日常生活で急に音が聞き取りにくくなったりした場合、来院するようにいわれました。
さて、今回は聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」が今月15日から26日まで東京で開催されることになっているため、それについて述べようと思います。同大会が日本で開催されるのは初めてですが、そもそも、「パラリンピック」との違いは何かを始めに調べることにしました。
デフリンピックとは「デフ+オリンピックのこと。デフ(Deaf)とは、英語で耳がきこえないという意味です。そのため、デフリンピックは国際的なきこえない・きこえにくい人のためのオリンピックです。国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)が主催し、夏季と冬季それぞれ4年毎に開催されるデフアスリートを対象とした国際総合スポーツ競技大会で、第1回大会は、1924年にフランスのパリで開催されました」1)。一方、日本パラリンピック委員会の公式web2)によれば、パラリンピックとは「障がいのあるトップアスリートが出場できる世界最高峰の国際競技大会で、夏季大会と冬季大会があり、国際パラリンピック委員会(IPC)は、大会を通じ共生社会の実現を推進することを目指しています。それぞれオリンピックの開催年に、原則としてオリンピックと同じ都市・同じ会場で行われることになっています。第1回大会は、1960年にイタリアのローマで開催されました。」ですから、デフリンピックのほうがパラリンピックよりも歴史が長いことになります。
次に、競技の種類を見ました。まず、デフリンピックの種目は以下の21「陸上競技・バドミントン・バスケットボール・ビーチバレーボール・ボウリング・自転車(ロード)・自転車(マウンテンバイク)・サッカー・ゴルフ・ハンドボール・柔道・空手・オリエンテーリング・射撃・水泳・卓球・テコンドー・テニス・バレーボール・レスリング(フリースタイル)・レスリング(グレコローマン)」2)です。一方のパラリンピックは「夏季22競技(アーチェリー・陸上競技・バドミントン・ボッチャ・カヌー・自転車競技・馬術・ブラインドフットボール・ゴールボール・柔道・パワーリフティング・ローイング・射撃・座位バレーボール・水泳・卓球・テコンドー・トライアスロン・車いすバスケットボール・パラフェンシング・車いすラグビー・車いすテニス)並びに冬季6競技(アルペンスキー・バイアスロン・クロスカントリー・アイスホッケー・スノーボード・車いすカーリング)」1)となっています。
最後に、両者のバドミントン競技について見ました。
デフリンピックには、@「ほちょう器」などを外した状態で、きこえる一番小さな音が55db(デシベル)を超えており、A各国の「ろう者スポーツ協会」に登録されている選手で、記録・出場条件を満たしている人が参加できる1)、となっています。また、デフリンピックのバドミントンは、WBFの競技規則に準拠して行われ、シングルス(男子・女子)、ダブルス(男子・女子・混合)、団体(混合)の種別があります。
パラリンピックのバドミントンは2020年の東京大会から正式競技に採用されました。世界バドミントン連盟(BWF)の定める競技規則に則って行われますが、障がいを考慮して、一部ルールが変更されています。ラケット及びシャトルは通常と同じものを使用します。また、障がいの種類や程度によって、次のようなクラス分けがあります3)。カテゴリーには大きく分けて「車いす」と「立位」があります。クラスはアルファベットと数字で表記されますが、前者は障がいの種類、後者は障がいの程度(小さいほど程度が重い)を表しています。車いすは、WH1とWH2(下肢に障がいがあり、立ってプレーすることができず車いすを使用する障がい)があります。立位は、SL3とSL4(下肢に障がいがあるが、立ってプレーすることができる障がい)並びにSU5(切断やまひなどの上肢障がい)とSU6(低身長症)があります。また、クラスによってコートのプレーエリアを設定することで、バドミントンならではの激しいラリーや駆け引きを実現しています。例えば、立位クラス(SL3)のシングルスでは、通常の半分の広さのコートでシングルス戦が行われます。車いすカテゴリーの2つのクラス(WH1、WH2)では、通常の半分のコートからさらにネットとショートサービスラインの間もアウトとなります。このように、パラリンピックには詳細なクラス分けがあることが分かりました。
以上のことから、デフリンピックはパラリンピックのような詳細なクラス分けがなく、聴覚に障がいがある方で上記の@A及び記録・出場条件を満たしていれば参加できることが分かりました。ただし、バドミントンをプレーするうえで”音”がきこえないことは大変な困難を伴うことが想像できます。身体のバランス感覚、対戦相手がラケットでシャトルを打った際の音やラケットを振った音、もちろんの自分のプレーでの同様の音、ダブルスではペアの動きの気配音やペアワークの数々など、”音”がきこえないために、プレーヤーはどのような方法を工夫しているのであろうか。私は実際に見聞したことがないので、機会があれば学びたいと考えています。
文献
1)東京2025デフリンピック公式web.https://deaflympics2025-games.jp/#gsc.tab=0.
2)日本パラリンピック委員会公式web.https://www.parasports.or.jp/paralympic/
3)(公財)日本パラスポーツ協会公式web.パラスポーツ競技ガイド.かんたんバドミントンガイド,https://www.parasports.or.jp/about/images/competition-guide_15.pdf.